ご挨拶

新たな営農支援メソッド(A-FAM)の普及にあたって

日本農業を取り巻く環境は、「高齢化の進行」、「後継者不足」、「耕作放棄地の増加」など益々厳しさをましております。政府は、競争原理に基づく「『攻めの農林水産業』の具体化の方向」について、農地の集積をはかる県農地中間管理機構(仮称)を設置し、農地集積による大規模経営の育成を目指しています。

農地中間管理機構は、この業務に必要な「人・農地プラン」の作成を市町村の農業委員会に委託しますが、多くの農業委員会は、プラン作成をJAに再委託しています。しかし、大部分のJAには、GIS(地理情報システム)はいまだに導入されていないとともに、「人・農地プラン」に必要なデジタル圃場図の作成は紙地図を利用して行われており、作業効率が極めて悪いのが現状です。

一方、農業現場で重要な位置を占めているJAにおいても、広域合併とコンプライアンスのための人事異動により、ベテランの営農指導員の知識や篤農家の営農技術の継承が困難になってきています。

このような環境変化の中で、東京農業大学は、平成21年度から平成26年度にかけて文部科学省の宇宙利用促進調整委託事業による「衛星データと気象データを利用したJA参加型営農支援GISの構築研究(研究代表者:東京農業大学 国際バイオビジネス学科教授 鈴木充夫)」を有人宇宙システム株式会社(JAMSS)と協同で開発してまいりました。この産学連携研究で「日本農業の再生を目指した新たな営農支援メソッド(A-FAM: Alternative Farming Assistance Method)」を開発しました。

このメソッドは、1)「人・農地プラン」の作成に必要なデジタル圃場図を低コストで現場に提供する、2)営農指導に必要な情報(気象データや衛星データ)をGIS上に蓄積し、現場に提供することを目的としています。

これらに加え、3)東京農業大学とJAMSSが中心となり、「GISの基本技術」、「GIS利用技術」、「ポリゴンデータの作成・更新」、「統計データの追加・更新」、「営農指導のための気象データ・衛星データ利用方法」などの技術研修と「地域農業のコンサルタント」がセットになっている点が、A-FAMの大きな特徴です。

東京農業大学は明治24年(1891年)に創設され、「実学主義」を教育理念に掲げ、多くの卒業生を農村の現場に還してまいりました。特に、卒業生の多くが、全国の市町村、農協に就職しており、大学としても市町村・農協側の就職支援に対し、少しでも役に立つ研究成果を現場に返したいと考えております。産学協同で開発した本メソッドが、現場の地域営農計画・営農指導等において活用して頂ければ幸いです。